2022/02/09
「秘すれば花」という座右の銘があります。
英語で言うと
「Elegance of silence.」とか「Flowers if secret.」という言い方になりますかね。
この言葉は
室町時代の申楽(猿楽、現在の能)を大成した
世阿弥が著した「風姿花伝」の中の言葉です
「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」
という
意味としては世阿弥が父観阿弥から受け継いだ観世流という流派には
代々伝えていく秘事があり
それを秘密にして隠すことによって価値や効果が上がるということなんですね
このことは日本の美学にも当てはまり
あからさまになんでも表に出さず
謙虚にしておいた方が
「魅力」が増すことを意味するんです
「筋肉」の美学からすれば
ところかまわず筋肉を見せびらかしていると
一般の人からすれば
筋肉自慢の見せたがりのように見えるかもしれない
このへんが難しいところで
筋肉マンからすれば意見の分かれるところだとは思いますが
だからここでは私なりの美学を書くことにします
私自身もトレーニングやりたての頃は
筋肉がついてくると周りの人と違う自分の体型がうれしくなり
過剰に目立つ筋肉をさらけ出していました
今思い出すととても恥ずかしくなりますが
梅田の街とか大学構内なんかをタンクトップで歩いたりしてたんですね
まあ若いうちはいいかなと思うんですが
だんだん筋肉がでかくなってくるとふつうにTシャツでも目立つし
どこに行っても声かけられたり
いつも誰かに見られているような感じで疲れてくるんですね
そのうち自分でも見せるためだけの筋肉のような
何か足らない感じがしてくるようになったんです。
「自分が他人の筋肉を見たときに衝撃を受けるのはどんな時だろうか」
そんなことを考えるようになると
何気ない時に目に入る筋肉のインパクトと
ボディービルダーのステージ上での筋肉のインパクトとを
使い分けて考えるようになったんですね
ボディービルダーの筋肉はステージ上でのポーズをとって
比較することで順位が決まります
もちろん見せることが目的のコンテストですから
見た目が重要になります
私が衝撃を受けるのは普段何気なく生活している時です
私ははっきり言って筋肉を見慣れているのですが
あきらかにボディービルダーだとわかるとさほど刺激は受けません
それよりそうは見えない人が何かを握ったりしたときに
前腕に尋常ではない筋や血管が浮き出ていると
この人は何をやってる人だろうかと想像してしまいます
想像が膨らむとただものではない空気が宿ったりします
おそらく筋肉という部分的なものだけでなくその人が醸し出してる雰囲気とプラスアルファの筋肉
それがセットになって魅力を引き出し興味がわいてくるんですね
普通に体格のよさそうな人がシャツを脱いだ時に背中や腹筋がバキバキだったり
そんな時に
「なんの仕事しとるんや」みたいな想像につながる
よくわからんからこそ筋肉の魅力が引き立つんです
私の勝手な価値観かもしれませんが
あからさまに筋肉を出して
「あっボディービルダーやな」で終わるよりもっと気になる存在になりたいですね
いつも誰かから見られていると思い
油断することなく
あらゆる角度からどんな風に見えるんだろうと想像しながら
日々筋肉を鍛え上げる
「想像させる筋肉」これも「秘すれば花」になるかもしれません。